乳房再建術をするべきか
大きな病院を紹介され、まずは乳腺外科を受診しました。
前の病院から持ってきた検査画像やデータを確認され、再建術の話を簡単に聞きました。
その後形成外科へ行き、もっと詳しい説明を聞きました。
乳房再建術には2つの方法があり、1つ目は自分の身体の組織(自家組織)を使って再建する方法。
これは背中やお腹、お尻などから脂肪や筋肉をとり、乳房に移植する方法です。
2つ目はシリコンインプラントを使って再建する方法です。
これはまず組織拡張器を大胸筋の下に入れて、生理食塩水を入れながら胸の皮膚と筋肉を伸ばして行きます。
半年くらいかけて皮膚が十分に伸びた後、インプラントを入れます。
この時、自家組織を入れることもできます。
再建術は乳がん手術と一緒に行うこともできるし、乳がん手術が終わった後で期間をおいてから行うこともできます。
自家組織のメリットとしては、自分の組織を使っているので、術後のメンテナンスがいらないこと、柔らかく温かい自然な胸であることです。
デメリットは手術時間が長く健康な部分にまで傷を作ること。
あとはお腹やお尻から組織を持ってきた場合は、残ったもう片方が乳がんになった場合に、次はどこから組織を持ってくるか考えなくてはいけません。
背中からの場合は左右から持ってくることができます。
全摘出だけであれば1週間で退院できるが、再建術をすれば入院期間が2~3週間になります。
手術時間は5~10時間ぐらい長くなります。
インプラントのメリットは他の部位に傷を作らなくても良いことです。
しかし術後に拡張器を入れ、半年後にインプラントを入れる手術がもう一度必要です。
さらに年齢とともに胸の形が変わったりすることで左右のバランスを揃える手術や、破損の可能性もあり10~20年で入れ替えの必要もあるそうです。
母の場合は前の乳がん手術の後で、放射線治療をしていたため、皮膚が伸びないのでインプラントの選択はできないと言われました。
それは温存術のとき、放射線治療のときも聞いていませんでした。
乳がん再発の可能性も視野に入れて、教えてもらいたかったと思いましたが、それでも何も変わっていなかったかもしれません。
自家組織での再建術にはお腹、お尻、背中のいずれかから、脂肪や筋肉を移植する方法があります。
これは元の胸の大きさやお腹やお尻の脂肪のつき方で、選択できない個所もあります。
お腹やお尻から組織を持ってくる場合は、取った組織と胸にある血管をつなぎ合わせることが必要で、そうしなければ、組織が死んでしまうそうです。
なので手術時間は10時間を越えます。
背中からの場合は血管をつなげたまま、脇の下の皮下にトンネルを作って脂肪と筋肉をくぐらせて胸に持ってくるので、お腹やお尻よりは手術時間が短く、5~6時間だそうです。
これに乳房摘出の手術時間が1~2時間プラスです。
放射線治療の時に脇の血管にも放射線が当たっているので、造影CTをして血管が使えるかを確認しないと、もしかしたら背中からの手術はできないかもしれないとのことでした。
お腹やお尻から組織を取った場合は3日間くらいは絶対安静で動いてはいけないが、背中からの場合は翌日から歩けるということでした。
話を聞いても、どうしたら良いか分からず、全摘出だけで良いのか、乳房再建術までした方がいいのか。
先生はあなたの残りの人生に乳房があった方が良いのか、それともなくても良いのかで考えてくださいと言われました。
母の姉に相談してみました。
姉が乳がんになったのは30代前半です。
その時はまだ再建術が保険適用ではなかったので、全摘出しています。
その時再建術が選べれば、そうしていたかもしれない、と言いました。
人それぞれ考えが違うのですが、年齢的なものでも違ってくるのかもしれません。
もし自分なら30代、40代であれば再建するかもしれないし、60代、70代であれば摘出だけで良いかもしれないと思うかもしれない。
母は50代半ば。どちらがいいのか。
考えても分からないと言っていました。
私は取りあえず脇の血管が使えるかの造影CTまでやってみたら?と言いました。
再建術をするにしても、お尻やお腹から自家組織を持ってくるのではリスクが高すぎるし、背中からの手術なら次の日には歩けると言っていたので、その再建術なら考えても良いのでは?と言いました。
後日造影CTを受けることにしました。
これで脇の下の血管が使えないから、背中からは無理ですよと言われれば、もう全摘出だけで再建はしなくていいかなと思えるし。
もし背中からでも手術ができるとなれば、再建術でも良いかもしれないという考えになりました。